「すごい量の買い物ですね」
その声に振り返ってみれば、フーゴだった。当たり前だ、ブチャラティチーム七人分の買い出しなのだからと言い返そうとしたのに、彼はスマートにわたしの手から大きく膨らんだビニール袋をかっさらって行った。グラッツェ、という自分の声は届いているのか、彼は視線を合わせてくれない
「レジ袋貰わなくても、アジトにあったでしょう、大きなショッピングバッグが」
ああ、それでか。そんな事に100リラも200リラも使うんじゃあないって。
「ごめん、買い出し当番だったの出先で思い出したの」
「それにしたって」
すると、急に彼はわたしの手の指を纏めるように握ってきたのだった。重いビニール袋のせいで、赤い跡のついた指を。
「ちょっと、フーゴ……」
「思いつきで行動するからこんな事になるんですよ」
そのまま彼はわたしの手を離す事なく、通りを引っ張って行くように速足で歩きだした。彼は耳を真っ赤にして。